法定相続分による相続登記がされた場合の所有権更正登記の単独申請
令和5年4月1日より、法定相続分での相続登記がされている場合において、次に掲げる登記をする場合、登記権利者は単独で所有権更正登記が可能になりました。
①遺産分割協議又は審判もしくは調停による所有権取得に関する登記
登記原因『年月日〖遺産分割協議もしくは調停の成立した年月日又はその審判が確定した年月日〗遺産分割』
原因証情報は、遺産分割協議書、遺産分割審判書(確定証明書付き)、遺産分割調停調書
②他の相続人に相続の放棄による所有権の取得に関する登記
登記原因『年月日〖相続の放棄の申述が受理された年月日〗相続放棄』
登記原因証明情報は、相続放棄申述受理証明書
③特定財産承継遺言による所有権の取得に関する登記
登記原因『年月日〖特定財産承継遺言の効力の生じた年月日〗特定財産承継遺言』←いわゆる【相続させる遺言】
登記原因証明情報は、遺言書
④相続人が受遺者である遺贈による所有権取得に関する登記
登記原因『年月日〖遺贈の効力の生じた年月日〗遺贈』
登記原因証明情報は、遺言書
③と④の場合、単独申請があった場合には、登記官は、登記義務者に対して、当該申請があった旨を通知しなければならないとされました。
もちろん、所有権更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾がなければ申請することが出来ないのは従来通りでございます。
参照条文
不動産登記規則
(申請人以外の者に対する通知)
第百八十三条 登記官は、次の各号に掲げる場合には、当該各号(第一号に掲げる場合にあっては、申請人以外の者に限る。)に定める者に対し、登記が完了した旨を通知しなければならない。
一 表示に関する登記を完了した場合 表題部所有者(表題部所有者の更正の登記又は表題部所有者である共有者の持分の更正の登記にあっては、更正前の表題部所有者)又は所有権の登記名義人
二 民法第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わってする申請に基づく登記を完了した場合 当該他人
三 法第六十九条の二の規定による申請に基づく買戻しの特約に関する登記の抹消を完了した場合 当該登記の登記名義人であった者
2 前項の規定による通知は、同項の規定により通知を受けるべき者が二人以上あるときは、その一人に対し通知すれば足りる。
3 第一項第一号の規定は、法第五十一条第六項(法第五十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による登記には、適用しない。
4 登記官は、民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされた相続による所有権の移転の登記についてする次の各号に掲げる事由による所有権の更正の登記の申請(登記権利者が単独で申請するものに限る。)があった場合には、登記義務者に対し、当該申請があった旨を通知しなければならない。
一 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言による所有権の取得
二 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の取得