相続放棄の意味合い
相続手続きをしていく中で、財産を承継しない人のことを相続放棄するという言い方をされる方がいらっしゃいます。
それを法律的に捉えると、家庭裁判所で相続放棄の申述をすることになるのですが、よくよく話を聴いてみると、遺産分割協議で、財産を承継しないという意味での相続放棄と言っていることがたまにあります。
その言葉の使い方により、誤解が誤解を生み、悲しい結末になった方の話を紹介します。
被相続人Aには、奥様Bと子どもが2名CDがいらっしゃいました。
奥様がAの遺産を全てを相続したかっただけだったのですが、、、、、
それを預金解約に行ったところで出会った銀行員が残念な方であったために起こった悲劇。
銀行員は、奥様Bが相続して、CDが相続放棄をするということを聴いて、CDの相続放棄申述受理証明書を要求してしまったのです。
CDは、相続開始時から相続人ではなかったことになりますので、相続人は、BとAの兄弟姉妹ということになってしまいました。
相続放棄は撤回は基本的に受け付けられませんので、注意が必要です。
脅されたとかであればまだしも、自由意志でしてしまった相続放棄は撤回できません。
結局、Aの兄弟姉妹の方に、実印と印鑑証明書や戸籍などを集めてもらい、手続きが複雑になっただけになりました。
兄弟姉妹がハンコをおしてくれたら良いですが、押してくれなければ、えらいことになった案件でした。
そういう意味で、やはり専門家にしっかり相談をしていかないと、あとで取り返しのつかない結果になりかねません。
ちなみに、Aの生前にAのお父さまEが亡くなっていたけど、まだEの相続手続きが出来ていないようなケース(CDに数次相続が発生)では、CDはAの相続放棄する前であれば、Eの相続放棄をして、Aの遺産を相続することは可能であるが、Aの相続放棄をしてしまったら、Eの相続については、はじめから相続人ではないことになってしまうので、Eの遺産を相続することはできなくなります。
ということは、今回のケースで、CDは、Aの相続放棄をしてしまっているので、今後Aの父Eの未分割の遺産が出てきたときに相続人とならないことになります。その意味でも、ひどい結果になりかねない程、重大な相続関係に影響をもたらす相続放棄を言葉の間違いで引き起こしてしまわないように、法律専門家以外のアドバイスなどで軽々しく従わないようにされることをお勧めいたします。